読書日記No.110

f0065768_17133288.jpg

大型で超低速な台風がやってきた週末、
TV見るその被害の大きさには驚き
胸が痛むばかりでした。

西日本にお住まいの方、ご無事でしたでしょうか。
被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。





我が家の週末は相変わらず、
怒号と喧騒の中に過ぎて行きました。

(写真左上から時計回りに)
・『いい子でちゅね~♪』 と、ワンコ達におやつをあげまくり
 ワタシをブチ切れさせた 2週間ぶりに帰宅したカビゴンパパ。

・カビゴンパパが帰宅し、
 妙に強気になったろくチンにベッドをとられ
 『何とかしてくれ』 と目で訴えているななチン。

・『アルコールは入っていないのか?!』 と
 期待に満ちたカビゴンパパをがっかりさせた
 ワインみたいな可愛いアイスティー(うまし)

・『雨が止んだぞ~!』 と張り切ってお散歩に出た一人とニ匹。
 その後大雨に振られ、濡れネズミで帰宅することを
 この時は まだ知らない。






では、本日の読書日記です♪




1冊目・・・角田 光代 作 『ツリーハウス』
f0065768_18492671.jpg

新宿にある小さな中華料理屋さん。
そこに住む3世代の家族の生き様を追った物語です。

・戦時下に満州へと渡り、戦後の混乱の中
命からがら逃げ出してきた祖父母の世代。

・衣食住は満ち足りていることが当たり前になって、
豊かさと自由を求めて必死で何物かと戦おうとしていた全共闘世代の父母。

・必死に働かなくても生きていけるようになった世の中で
自分探しという言い訳で、仕事もせずに家でブラブラしている子世代。

一つの家族を追いながらも
そこに見えて来るのは
昭和から平成の時代を生きて来た日本という国の姿でした。
私たちの世代にとっては
日本と言うのは今までもこれからもずっと安全で平和な国で、
昨日と同じ明日がずっとずっと続くのだと
何の疑いもなく信じていました。
(3月11日までは・・・)

でも、たった2世代さかのぼっただけで
国がまるごと潰れてしまうような
昨日信じていたことが、今日にはもう消えて無くなってしまうような経験を
当時の誰もが経験しているんですよね。

東京大空襲を経験したカビゴンパパの母が
3.11の大震災のおり
全く動じず、淡々と非常持ち出し袋を用意し
どっしりと落ち着き払っていたことを思い出しました。
なるほど、今年83歳になる義母にとって
国家の非常事態というのは
昔何度も経験したことだったんですね。

それにひきかえワタシときたら、
『電車が動かない!』 『ガソリンがない!』 『食料品がない!』 『停電だ~!』 と
ただただ混乱しうろたえてばかり(恥)

昨日と同じ明日が来る保証なんてどこにもないことが分かった今だからこそ
この小説から見えて来るものは多いと思います。

今日だけ生き抜くことに精いっぱいだったはずの日本人が
たった70年くらいでどうして必死で生きるということを忘れてしまったのか。
祖父母の軌跡を追って旅に出た主人公が、帰国後出した結論が
その答えのヒントを教えてくれるかもしれません。







2冊目・・・宮部 みゆき 作 『ちよ子』
f0065768_16314898.jpg

この世で何が嫌いって、ワタクシ
ジェットコースターとホラー小説ほど嫌いなものはございません。
そんな私が、『珠玉のホラー&ファンタジー』 などと帯の付いた本を平気で手にできるのも
ひとえに作者が宮部さんだから。

宮部ワールドで起こる超常現象は、
怖くて恐ろしい出来事でも、いつもちょっとだけ切なくて悲しいのです。

5つの短編に出て来るのは
雪の日にあらわれた
二十年前に殺された女の子の幽霊だったり、
淋しさと、周りのほんのちょっとの悪意の中で亡くなっていった
おもちゃ屋さんのおじいさんの幽霊だったり、
人を殺めた罪悪感が見せる、いるはずのない幽霊の姿だったり。。。

死んだはずの幽霊より
生きている人間の方がずっと怖いこと、
見えるはずのないものが見えるのは
それを見たいと思う心が見せているのだということを
作者の宮部さんは優しいファンタジーに仕立てあげ、
我々に見せてくれているのでした。
面白かったです♪







3冊目・・・山本 幸久 作 『ヤング アダルトパパ』
f0065768_18442969.jpg

もし14歳の中学生の男の子が赤ちゃんを抱っこして歩いていたら。。。
『あら~、えらいのねぇ。弟の子守?』
と思うのが普通だろう。

ところがところがこの5カ月になる赤ちゃんは
正真正銘中学生の静男君の息子なのであります。

で、その静男君
赤ちゃんの母親である10歳以上年上の恋人には逃げられ
両親は離婚して家におらず
ひとり赤ちゃんを抱えて懸命に子育てをしています。
その父性たるや、そんじょそこらの父親が束になってもかなわぬくらい。
ありえないほどの愛に溢れた少年なのです。

作者の山本さんは
ニュースで見るような様々な犯罪を犯す中学生と
対極にいるような中学生を描いてみたかったんだとか。
中学生の目を通して、育児の楽しさや難しさ
保育制度の問題点などがしっかりと浮き彫りにされていました。

しかし、この赤ちゃんが小学生になる頃
パパはやっと二十歳かぁ。。。
出来過ぎだった中学生パパが、その頃になって
子どもと一緒に、突然の反抗期とかになってたら面白いのに(笑)






4冊目・・・梓崎 優 作 『叫びと祈り』
f0065768_1848024.jpg

エメラルドに輝く海とサンゴ礁。
美しい街並みや、そこを歩くおしゃれな人たち。
海外を舞台にした旅行小説といえば、
うっとりとタメ息をつきたくなるような景色や高級ホテルが登場し
『いつかここを歩いてみたい!』 と小説を読みながら夢見たりするのが鉄板。

ところがどっこい、
この小説の主人公が旅するのは
突然刺すような砂嵐が舞い上がり、命の危険にさらされるような砂漠、
エボラのような病が大流行し集落丸ごとが絶命してしまうようなジャングルの奥地、
などなど、『絶対行きたくない!』 と思うような場所ばかり(笑)

それだけでも充分興味をそそられる小説なのですが(そうか?)
そこにミステリーの謎解き要素が加わって
抜群の面白さになっています。

5つの連作になった短編それぞれに
面白いトリックがしかけてあって
最後に謎が解けた後、慌てて読み返さずにはいられませんでした。

作者の梓崎さん(覆面&兼業作家らしい・・・)
この本がデビュー作なんだとか。
誰の真似でもない新しいタイプのミステリーです。
次作が楽しみ♪






5冊目・・・井上 荒野 作 『ハニーズと八つの秘め事』
f0065768_18454116.jpg

嘘・・・ではなくて、秘め事です。
嘘のように積極的に相手をだますわけではないのだけれど、
相手が誤解しているとわかっていても、わざとそのままにしておいたり
夫の浮気をとうに見破っていても、知らん顔してその嘘につきあってあげたり
大好きで仕方がない男の人の前で、
『ぜんぜん好きじゃありませんよ』みたいな態度をとってみたり。
9つの短編の主人公たちの持つ秘め事は、個々様々なのだけれど
みんなどこかちょっと切なくて痛々しかったりしています。

井上さんらしく、どの短編にもはっきりとした結論のようなものはありません。
「え?、ここで終わっちゃうの~」 と、突き放されたような気分になりますが
読み終わった後、気がつけば
その後の主人公たちの行く末をあれこれと頭の中で想像したりしていました。
そんな読み方もまた、なかなか楽しいものです♪







6冊目・・・重松 清 作 『きみ去りしのち』
f0065768_11222842.jpg

『人の死』 と残された人たちの悲しみを真正面から描いたこの小説には、
1歳の可愛い盛りの子どもを亡くしてしまった父親、
高校生の娘を一人残してまもなく死んでいくシングルマザー、
他にも 大切なかけがえのない人を失ってしまった人たちがたくさん登場します。

死んでしまった息子の面影を追い求めるかのように
様々な場所へ旅を続けた主人公は
知床の流氷、沖縄の空や海と出会って
そこに人間の存在をはるかに超えるものを感じ
青森の恐山、津波に大勢の命を奪われた奥尻島、長崎の精霊流しでは
生と死の境目を超えて死者を思い続ける人たちと出会います。

旅をしたからと言って
急激に主人公が立ち直ったりするこようなことはないのですが
読者は主人公と一緒に
『生きるとは何なのか』 『死ぬということはどういうことなのか』
『幸せに死んでいくにはどうしたらいいのか』 と
読んでいる間中ずっと考えさせられることになります。

読みやすい文章ですが、決して軽い内容ではなく、
『そこまでやるか?!』 的な悲しい出来事のオンパレードなので
読むときは心身ともに体調の良い時を選んでお読みください。
Commented by のんのんママ at 2011-09-04 22:11 x
台風、各地に甚大な被害を残していきました。
こちらも暴風雨でちょっと怖かったけど
なんとか怪我もなく過ごせました。
傘の骨は折れたけど(笑)

さて、読書日記。
毎回ですが、にゃんこさん♪
おもしろそうな本をいっぱい紹介してくれてありがとね~♪
私が好きな作家さんの一人、角田光代さん。
ツリーハウス、これはぜひともリクエストをしてこなくっちゃ!
そしてなんだってぇ!?
ヤングアダルトパパー!?
これはまた、ぶっとびそうな話だねぇ(笑)
これもメモしときます(笑)

宮本輝さんの新刊(?)「慈雨の音」なんですが、
シリーズ物みたいなの。
にゃんこさん、読んだことある?
「流転の海」から始まって「慈雨の音」が6番目らしいんだけど
全部読んでみようかな~と思ってます。
でもまずは、一番新しい「慈雨の音」を読んでみて
気に入ったら~だけどね(笑)
Commented by nyanko4116 at 2011-09-06 21:38
>のんのんママさま
宮本輝さんのそのシリーズ
1冊も読んだことないです。
面白かった時には、ぜひ教えて~♪
その時は6冊一気に読破という幸せを
味わってみたいです。

角田さん、最近では
この方の書くものにハズレなし!って感じですね。
『ツリーハウス』も大河小説風で面白かったです。

あと今回のおススメは『叫びと祈り』
あ、でもみっちょさんもう読んだかな?
まだでしたらぜひに♪
Commented by mamemama at 2011-09-07 14:26 x
パパさんと同じく、私も濡れネズミになりましたよ~、しかも3回も。
よし、今のうち!と飛び出した直後とか
あと少しで家に着くのに!って時にとか
ほんの一か所・短時間のみの集中豪雨に遭ったりとか。

でも、ズブ濡れくらいで済んでよかったです。

最近は様々な自然災害がおきて、
誰かに生き方を問われているような、
何かを試されているような、そんな気がしてなりません。

今を大切に、しっかりと生きていかないと(犬を見習って)。
Commented by nyanko4116 at 2011-09-09 15:43
>mamemamaさま
晴れた♪・・・と思っていると
突然バケツをひっくり返したような雨が降ってきて、
あの数日は一日に何度も家中の窓を
開けたり閉めたり、
洗濯物を出したり入れたり!
家族一同、家の中をバタバタと走り回っていました。

日本て、自然災害の多い国なんだということを
最近忘れていましたよね。
地震、台風、津波、洪水、
大昔から日本人は壊されるたびに作りなおしてきたのでしょう。

あっけなく消えてしまう命や物を儚む
日本独特の情緒は
こんなところからDNAに組み込まれてきたのかも
しれません。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード
by nyanko4116 | 2011-09-04 18:00 | 読書日記 | Comments(4)

今日も笑顔で♪


by にゃんこ
プロフィールを見る