『手紙』

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差別のない国を探すんじゃない、君はこの国で生きてくんだ・・・





東野圭吾原作の映画です。
今回の映画紹介は少々(ホントはとっても)理屈っぽくなっている上に、ネタバレ満載です!
書き出したら止まらなくなってしまったので、長文ですがしばしお付き合いを・・・

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竹島直貴(山田孝之)の兄(玉山鉄二)は、弟の大学進学費用欲しさに
殺人を犯してしまいます。
犯罪者の弟として生きていく事を余儀なくされた直貴は、目立たぬように人とできるだけ関わらず生きていこうとするのです。

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この原作本が出版されたとき、、『兄弟愛』や『犯罪者の家族に対する差別』というような事ばかりがクローズアップされていましたが、
作者が書きたかったのはもっと違う事ではないかと、ずっと思っていました。
この映画では、原作よりもそこのところがわかりやすく描かれていて
とてもうれしくなりました。

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兄は刑務所の中から、せっせと弟と被害者の家族にあてた手紙を送り続けます。
それは被害者の家族にとっては、決して許す事のできない相手からの謝罪の言葉であり
手紙を読むたびに終わる事のない犯罪被害者の家族としての悲しみをなぞるものでした。
弟にとっても自分を気遣う兄からの手紙は、
『犯罪者の弟』の証としてどこまでも追いかけてくるものだったのです。

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弟はかけがえのない家族である妻と娘までもが『人殺しの家の子』と呼ばれ仲間はずれにされていることを知り
やっと手に入れた幸せを守ろうと、二度と兄には手紙を出さないこと
兄とは関わらず生きていく事を決心するのでした。

その事を最後の手紙で告げられた兄は
そこで初めて自分の犯してしまった罪とは、弟やその家族の苦しみまでも
背負わなくてはいけないことなのだと気付きます。
そして被害者の家族へ当てた手紙も、決して許せない自分からの謝罪の言葉は、
相手を苦しめる事であることも理解するのです。
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弟にとっても兄と縁を切るということは、今いる場所で差別から逃げずに生きていく覚悟を決めた結果のことでした。

ラスト、兄のいる刑務所に慰問に訪れた(漫才をしに!)弟は、
もう二度と関わることがなくても、兄がどんなダメな人間だったとしても
自分にとってはかけがえのない兄であることを舞台の上から兄に伝えます。
そしてそのシーンで流れてくるのが、小田和正の『言葉にできない』!!
♪ラ・ラ・ラ~、ラ・ラ~ラ、こと~ばに~できな~い♪・・・ていうアレです。
『ここでその歌はずるいでしょ!』っていうくらい泣けます。
もう私の隣の席の人なんか、声をあげて泣いてましたから。

素直にごめんなさいと謝る事のできる人は素敵です。
でも犯した罪が謝っても決して許されるようなことではない場合
謝る事は“相手ではなく自分のため”になってしまうんですね。
最初にのせた文章『差別のない国を探すんじゃない・・・』は
直貴の勤める会社の社長(杉浦直樹)が直貴に語った言葉です。
差別について
『犯罪の近くにいる者から自分を出来るだけ遠ざけたいと思うのは、当たり前のことなんだよ・・・』
と淡々と話す社長は、出番はこのシーンだけと少なかったのですが
とても心に残る人物でした。

こんなに映画の内容を細かく語ってしまいましたが、
直貴がさまざまな差別を受けながらも漫才師(何故だ?!)を目指す様子や
後に妻となる沢尻エリカとの出会いなどなど
他にも見所満載なので、興味が出てきたらぜひ見てみて下さい。
小難しいヘリクツ抜きでも心揺さぶられる映画ですよ~。
Commented by のんこ at 2006-11-30 08:06 x
この映画、私も観まして、にゃんこさんがどんな記事を書くのかとっても興味を持っておりました。
ネタをばらさずに内容をコメントするって難しいですね。
社長の言葉はとても重くて温かいと思いました。被害者に対しての謝罪を続けることも被害者を苦しめ続ける、ということは、観ていて初めて気付いたところでした。
頭を使って理解する部分もあり、沢尻エリカのファッションがシーンごと(工場の食堂の頃・美容学校に通う頃・直貴と結婚した後)に変わっていくところや大会社の専務令嬢(吹石一恵)のファッションを目で楽しむ部分もあり、とっても良かったです。
にゃんこさんの記事、じょうずです、脱帽です。
Commented by のんのんママ at 2006-11-30 09:16 x
みっちょはまだ見に行ってないの。
良かったみたいですね!じゃ、見よう!
小説は読んだの。
お兄ちゃんが、殺人を犯すところにちょっと無理があるけど
全体的にはとってもいい本だと思ってお気に入りなの。
小説が良かったので見に行った映画で、がっくりさせられたことがあったので
(摸○犯なんだけど・・)
ちょっと警戒してたんだけど、「手紙」はなかなか評判いいみたいだね!
映画では漫才師になるんだ!?
小説では歌歌ってたよね。
みっちょもきっと、声上げてなくであろう!
一人で見よう!
Commented by nyanko4116 at 2006-11-30 23:23
>のんこさま
いえいえ、映画日記と読書日記は、書きながらいつも
『こんなことが言いたいんじゃないのになぁ・・・』と思いつつ四苦八苦しているのですよ。。。
でも本も映画も、読んだり見たりした人の数だけ解釈の仕方があっていいと思うので
勝手な事書かせてもらってます。
沢尻エリカいい演技してましたよね。
最後はちゃんと強い母になってたし。
社長の杉浦直樹の演技にも泣かされました。
Commented by nyanko4116 at 2006-11-30 23:29
>のんのんママさま
うん。お金も時間もそんなにかかっていない映画だと思うのだけれど
原作の大事な部分が生きていてとてもいい作品でした。
そうなのよ~。
目立たず人と関わらず生きていく人が、何で漫才師目指すのよぉ~。
ご指摘の通り、映画でも『そんなんで人殺すのかい?』って感じで
殺人を犯すには無理があったかなぁ。
おっと、ついアラ探ししちゃったけど
いい映画だと思いますよ。
Commented by eporin at 2006-11-30 23:58
この映画、TVドラマの「タイヨウのうた」で共演していた
二人なので気になってました。
ドラマの沢尻エリカの「タイヨウのうた」はなかなかよかったので
映画の方のDVDも借りてみたら、私はTVの方が好きでした。
この映画もDVDになったら見てみたいと思ってます。
Commented by nyanko4116 at 2006-12-01 01:01
>eporinさま
ホントだ!今気がつきました。
この二人「タイヨウのうた」コンビですねぇ。
この映画はここだけの話、特に映画館で見なくてもいいかも(笑)
凝った映像や音楽を使っているわけではないので
大画面サラウンドで見る必要性はほとんどなく
ひとりじっくりと家で見ても、充分堪能できると思いますよん♪
Commented by のんのんママ at 2006-12-01 07:43 x
わ~~い!
クリスマスバージョンだぁぁぁ~~~~!!
いい感じです~~~!
Commented by ジャム at 2006-12-01 15:15 x
(笑)
同じ日に見てたんだぁ。何時からだったのぉ?
Commented by nyanko4116 at 2006-12-01 18:07
>のんのんママさま
クリスマス・ラブ♥な みっちょさんに、このブログスキンを捧げます
(・・・なんちって♪)
Commented by nyanko4116 at 2006-12-01 18:11
>ジャムさま
ごみんm(_)m
この映画見に行ったのこの前の前の日曜日だったのよぉ(汗)
あれこれと書きたいことがまとまらず、アップがのびのびになっていました。
常に現実とのタイムラグが生じているにゃんこのココロ!!
これからもよろしくお願いします♪
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by nyanko4116 | 2006-11-29 18:43 | 映画日記 | Comments(10)

今日も笑顔で♪


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