『西の魔女が死んだ』
2008年 07月 06日
今回はワタクシ、ネタばれ満載で語らせていただきます。
梨木香歩原作の同名小説を映画化。
物語の持つ世界観、そして原作で作者が伝えたかったことを
忠実に再現しようと作られている映画でした。
何よりもまず私がその生き方を尊敬してやまない
『西の魔女』こと少女のおばあちゃん。
(イギリス人という設定です)
自分の信念に忠実に、
毎日の暮らしを丁寧にそして大切に送る彼女の元へ
登校拒否になってしまった中学生の孫娘がやってきます。
この年頃特有の繊細さや生きにくさのため
学校に行けなくなってしまった少女に
おばあちゃんは、自分には魔女の血が流れていることを明かし
『魔女修行』することを提案するのです。
おばあちゃんの教えてくれた魔女修行は
・早寝早起き
・三食しっかり食べてきちんと身体を動かすこと
そして一番大切なこと、
・自分のことはすべて自分で決めること。
そうやって決めたことは最後まで守ること。
おばあちゃんとの落ち着いた暮らしの中で、
少女は日に日に元気になっていくのですが
最後までうまくコントロールできなかったのが自分の感情。
感受性が強いと言うのは、素晴らしいことだけれど
いやなこと・醜いものに対しても過剰反応してしまう面も持ち合わせているということ。
そんな少女に、祖母はいやだと思う気持ち・人を憎む気持ちも
自分でコントロールしなさいと教えます。
だけど、そんなことは大人だってそうそうできるもんじゃありません。
人の行動によって自分が不愉快になるのは
『自分で自分のことを決める』はずの魔女の掟に反すること。
人が言ったことや やったことに影響されるのではなく、
自分の気分はいつも自分で決めていたい。
私だってそんな風にできたらどんなにいいだろうと思うけど。。。40過ぎたってできん。
西の魔女も、孫娘がすぐにできるようになるとは思っていなかったはず。
だけどおばあちゃんは少女の心に
たくさんの種を蒔いたのでしょう。
今はできなくても少女が成長していくのと共に
蒔いた種も少しずつ育っていくように。
おばあちゃんの願いが理解できなかった少女は
けんか別れのような形で新しい学校のある街へと
おばあちゃんのもとから引っ越していきます。
仲直りできないまま、時が過ぎ
2年後再び会うのは、魔女が死んだという知らせがあったときでした。
けんか別れはしていても、魔女との約束をちゃんと守って暮らしていた少女には
魔女の思いの深さがわかるようになっていました。
魔女の蒔いた種はちゃんと育って、双葉から本葉へと成長していたのです。
私もこんな時期にこんな風に接してくれるおばあちゃんが欲しかったし、
将来こんな風に孫を包んであげられるおばあちゃんになりたいなと思う。
相手の気持ちを読み
将来相手のためになるアドバイスを予言するのが魔女ならば
世の中のお母さん達はみんな
子どもにとっての魔女にならなくっちゃいけませんね。
魔女の住む家のキッチンも、庭のあちこちに植えられたハーブも
魔女が着ているキュートなお洋服も、出てくるお料理も
すべてが素敵に映像化されていて
映画化されてよかったなと思える作品でした。
ぜひぜひおすすめです。
by nyanko4116
| 2008-07-06 00:46
| 映画日記
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